おなまえ Eメール タイトル メッセージ > 立法情報 > 【ドイツ】 > 父子関係確認の新たな手続―民法改正 > *2008年3月31日、嫡出否認の手続(民法第1600条以下)とは別に父子関係の確認を行 > う新たな手続を定めた民法等の改正法が公布され、翌4月1日から施行された。自己の血 > 縁関係を知る権利と情報の自己決定権との調整を図り、同時に子の福祉にも一定の配慮 > をした改正である。 > 立法の背景 > 近年ドイツでは、(法律上の)父親が自分と子の間の父子関係の存在に疑いを持ち、 > その存否についての調査を望むケースが増大している。この調査の実施について子と > その母親の同意が得られない場合に、法的に用意された道としては、民法第 > 1600 > 条 > 以下の規定に従って嫡出否認の訴えを提起すること以外にはなかった。この場合には、 > 父子関係の存在を当初から否定し、その主張を裏付ける証拠を提出することが必要と > なる。 > ところが最近、 > DNA > 鑑定によって容易に、また確実に父子関係の確認ができるよう > になった結果、(法律上の)父親が、民間の実験室などに依頼して父子関係の鑑定をし > てもらうケースが増大してきた(年間約 > 2 > 万件と推定されている)。この鑑定は、微 > 量の毛髪や唾液などがあれば足りるため、子やその母の認識や承諾のないまま行われ > ることが多い。 > これに対して連邦通常裁判所は、 > 2005 > 年 > 1 > 月 > 12 > 日の > 2 > つの判決で、当該の子又は > その法定代理人の認識及び承諾のないまま行われた > DNA > 鑑定は、子の有する情報の > 自己決定権(一般的人格権の内容として基本法第 > 2 > 条第 > 1 > 項、第 > 1 > 条第1項で保障さ > れる)を侵害するものであり、その結果を嫡出否認の裁判手続において証拠として用 > いることはできないとの判断を下した。 > 2007 > 年 > 2 > 月 > 13 > 日の連邦憲法裁判所判決もこ > の結論を支持したが、同時に、血縁関係の確認を求める側の利益を考慮して、立法者 > に対して嫡出否認の手続とは別に、子と法律上の父との間の父子関係を明らかにする > ための法的手続を > 2008 > 年 > 3 > 月 > 31 > 日までに整備することを求めた。今回の法改正は、 > この委託に応えて行われたものである。 > 改正の主な内容 > 民法典に次の二点を主な内容とする第 > 1598a > 条が新設されたほか、民事訴訟法等の > 関連法規の改正が行われた。 > 1.法律上の父、子及び母の三者は、それぞれ他の二者に対して、嫡出否認の手続と > は別個に、遺伝子上の血縁関係の調査を行うことを承諾し、当該調査にとってふさ > わしい遺伝子上の検体の採取を受忍することを求めることができる。承諾が拒否さ > れた場合には、家庭裁判所は承諾に代わる裁判を行い、検体採取の受忍を命ずるこ > とができる。 > 外国の立法 > (2008.5) > 国立国会図書館調査及び立法考査局 > > 2.ただし、上記請求を行った者の利益を考慮してもなお、父子関係を争うことの結 > 果が期待可能な限度を超えて年少の子の福祉に著しい害をもたらす場合には、当該 > 請求は認められない(同旨の規定が、嫡出否認手続に関する民法第 > 1600 > 条にも加 > えられた。 > )。 > なお、嫡出否認の訴えの場合とは異なり、調査の結果父子関係の存在が否定されて > も、このことは直ちに法律上の親子関係に影響をもたらすものではない。 > 改正をめぐる賛否 > 今回の改正は、いずれも一般的人格権の内容として基本法で保障されているとされ > る情報の自己決定権と、自己の血縁関係を知る権利との間の調整を図るべく行われた > ものであり、子の福祉にも一定の配慮をしているが、議会審議においては賛否両論が > あった。 > 法案を提出した連邦政府の立場から、ツィプリース法相(社会民主党・ > SPD > )は、 > 今後は父子関係を解明することだけのために親子の縁を切る必要はなくなる(すなわ > ち嫡出否認の手続に訴える必要がなくなる)ので、今回の改正は情報の自己決定権を > 強化すると同時に家族を守ることに役立つと主張した。 > 一方、連邦議会野党のうち、緑の党と左翼党は、遺伝子的調査の最低基準が設定さ > れていないことを指摘し、あるいは子の利益の保護が不十分であるとして政府の法案 > を批判し、最終表決にあたって前者は棄権、後者は反対に回った。 > また連邦参議院は、独自の法案を連邦議会に提出した。その内容は、子の母親を手 > 続の当事者から除外するとともに、当該父子確認の調査の実施について子に対して共 > 同監護権を有する両親の意見が一致しない場合は、両親のいずれかの請求に基づいて > 家庭裁判所が調査の当否を判断するとするものであったが、連邦議会で否決された。 > 参考文献(インターネット情報はすべて2008年4月18日現在である) > ・Bundestagsdrucksache 16/6561, 16/6649, 16/5370, 16/8219. > ・Deutscher Bundestag, Aktuelle T > hemen, 31.1.2008, 28.2.2008. > いずれも<http://www.bu > ndestag.de>より。 > ・Bundesverfassungsgericht, Urte > il vom 13.Februar 2007 - 1 BvR 421/05. > <http://www.bundesverf > assungsgericht.de> > ・Bundesgerichtshof, Urteile vom 12. Januar 2005 – XII ZR 60/03 > und XII ZR > 227/03. <http://www.bundesge > richtshof.de> > (山口 和人・海外立法情報課) > 外国の立法 > (2008.5) > 国立国会図書館調査及び立法 参照先 削除キー (英数字で8文字以内) クッキー情報保存
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